みんなジャンルと視点が違うのがいい
青木昭夫(以下:青木)
8年前くらい前から景気の悪化で、街中のウインドーが全体的にレベルが低くなって、観せる・観
ることの感動が薄まった感じがしたんですね。そのころからデザインやアートで、東京のいろんな場所や人がどんどんつなが
れるようなことをやりたいと思ってて、去年あたりからその想いがすごく強くなった。志を同じくする者同士が集まり少しず
つ投資すれば、何かできるんじゃないか。今誰かがやらないと東京の街が元気にならない。それをどうやって実現するかと考
えたときに、最初に相談したのが(川上)シュンくんだった。
ることの感動が薄まった感じがしたんですね。そのころからデザインやアートで、東京のいろんな場所や人がどんどんつなが
れるようなことをやりたいと思ってて、去年あたりからその想いがすごく強くなった。志を同じくする者同士が集まり少しず
つ投資すれば、何かできるんじゃないか。今誰かがやらないと東京の街が元気にならない。それをどうやって実現するかと考
えたときに、最初に相談したのが(川上)シュンくんだった。
川上シュン(以下:川上)
相談されて思いついたのが小池(博史)さんと(永田)宙郷くん。小池さんはデジタル、宙郷く
んは職人とのネットワークがあり、僕はグラフィックとみんなジャンルと視点が違うのがいいなと。そこでクライン&ダイサ
ムにも声かけようってなった。
んは職人とのネットワークがあり、僕はグラフィックとみんなジャンルと視点が違うのがいいなと。そこでクライン&ダイサ
ムにも声かけようってなった。
青木
日本人だけで固まっちゃうのはよくないからね
アストリッド・クライン(以下:クライン)
そうそう、外人必要だよ(笑)。
川上
で、オープニングに何やるか話してたときに、青木くんが「PechaKucha 20×20(クライン&ダイサムが主催するプレ
ゼンイベント)」のでっかいのをやりたいって言うから、それはいいシナジーを生むよねって。どうせなら世界から人を呼ん
だらいいねってなった。
ゼンイベント)」のでっかいのをやりたいって言うから、それはいいシナジーを生むよねって。どうせなら世界から人を呼ん
だらいいねってなった。
クライン
みんなが違うネットワークをもっているから、世界からいろんな人を呼んで新しいつながりをつくればいいよね。
永田宙郷(以下:永田)
今までのデザインイベントは、狭いコミュニティが集まる内輪のイメージがあった。領域を広げて
「デザインで何ができるか?」を考える人が増えるイベントをやらなくちゃって僕も思ってた。
「デザインで何ができるか?」を考える人が増えるイベントをやらなくちゃって僕も思ってた。
クライン
私はデザインイベントはスケールバックしたほうがいいと思ってた。量より質が大事だって。
マーク・ダイサム(以下:ダイサム)
東京にはいいデザイナーやアーティストがいっぱいいるのに、彼らが発表できる
ショーケースがない。『Dezeen』とか海外の雑誌に取り上げられても、東京では全然紹介されなくて。
ショーケースがない。『Dezeen』とか海外の雑誌に取り上げられても、東京では全然紹介されなくて。
永田
オリンピックのロゴマーク問題をきっかけに日本のデザインの課題も表面化してきたし、社会も大きく変わろうとして
るし、デザインの可能性を考えるには、ちょうどいい機会だと思ったんです。小池さんとも話してたんだけど、僕らが発起人
としてDESIGNART始めるっていうと、協力したいっていうクリエイターが周りにたくさんいる。彼らにデザイン関連の書籍を選んでもらいウェブで紹介すると、ユーザーには会期中だけでなく常にデザインに接する機会ができるんです。DESIGNARTの活動を持続的に支えること。そこに僕のような仕組みづくりができるプランナーが参加する意義がある。この活動をどう支えていくのかが、僕や小池さんの役割かな。
るし、デザインの可能性を考えるには、ちょうどいい機会だと思ったんです。小池さんとも話してたんだけど、僕らが発起人
としてDESIGNART始めるっていうと、協力したいっていうクリエイターが周りにたくさんいる。彼らにデザイン関連の書籍を選んでもらいウェブで紹介すると、ユーザーには会期中だけでなく常にデザインに接する機会ができるんです。DESIGNARTの活動を持続的に支えること。そこに僕のような仕組みづくりができるプランナーが参加する意義がある。この活動をどう支えていくのかが、僕や小池さんの役割かな。
小池博史(以下:小池)
僕は話をもらったときに、東京にデザインイベントが必要だと思ったし、やりたいという気持ちがすごく理解できたし共感できた。それにみんな知ってるから疑問も不安もなかった。僕はデジタルがメインなので、日常的にフィジカルのデザイン&アートに触れることがないから楽しんで参加してます。デジタルをうまく使って、活発にコミュニケーションできるアイデアを広げていきたいですね。サイトを運営しているので、宙郷くん同様継続的な活動をしていきます。
川上
僕はコンダクター的な立ち位置かな。ロゴをはじめ、全体のトーン&マナーや空気感をデザインする。温度や音質をつ
くって、みんなに自由に演奏してもらう。タクト振っているくらいというか。空気感だけつくればみんな優秀だからディレク
ションはいらないんです。
くって、みんなに自由に演奏してもらう。タクト振っているくらいというか。空気感だけつくればみんな優秀だからディレク
ションはいらないんです。
クライン
役割ではないんですよ。ブレストをやって刺激し合うのが大事。シームレスに、みんなの知識や経験をコンバイン
してやる。チームワークが重要です。
してやる。チームワークが重要です。
ダイサム
みんな信用できるからすごくイージーですね。僕なんか最初はコンセプトがわからなかったけど。みんなと話して
いるうちにどんどん理解できてきた。
いるうちにどんどん理解できてきた。
永田
それぞれが得意なことを自由にぶつければいい。
川上
僕らは5種類のプロがいる集団なんですよね。
青木
しかもみんな横断的に交流できる。軸足はそれぞれの領域だけど、全方向に動いたりつながったりできる。
川上
DESIGNARTでなら、みんなで東京からカルチャーやムーブメントをつくれるんじゃないかって思った。
クライン
人がハッピーになることが大事。一方通行じゃなくて、人と人が交流して盛り上がることでいい思い出ができる。
そんな体験が街中に毎日もっとあっていい。
そんな体験が街中に毎日もっとあっていい。
青木
みんなが主役で、何かやりたい、人をハッピーにしたい。そう思う人が自由に参加できる仕組みを目指しています。誰
でも参加できて頑張ればスターになれる、そんなチャンスを生む土壌をつくりたい。若い人がスターになって東京からクリエ
イティブ産業を活性化していく、それがDESIGNARTの持続的な目標です。
でも参加できて頑張ればスターになれる、そんなチャンスを生む土壌をつくりたい。若い人がスターになって東京からクリエ
イティブ産業を活性化していく、それがDESIGNARTの持続的な目標です。
東京が世界一の魅力的な街に
永田
個人的にはいっぱい観たい。今までのイベントは水族館的で、未知のものに出合える感じがなかったけど、今回は畑を
つくる感じ。街中の畑にいろんな種を蒔くことで、予期せぬ作物との出合いが待っている気がします。
つくる感じ。街中の畑にいろんな種を蒔くことで、予期せぬ作物との出合いが待っている気がします。
クライン
インタラクティブでシームレスなの。
小池
ある意味まちづくりですよね。これが東京で成功したら横展開すると面白い。日本には魅力的な街がいっぱいあるし、
海外にもDESIGNARTのコンセプトは通じると思う。DESIGNARTが世界の共通語になるかも!?
海外にもDESIGNARTのコンセプトは通じると思う。DESIGNARTが世界の共通語になるかも!?
川上
そのためにはバイリンガルが重要。日英を同じ音量で届けられる、東京はそういう街であればいい。だから今回はすべ
てのメディアがバイリンガル。日本人も外国人も同じ感覚で楽しめるイベントになる。これをきっかけに、東京が世界一の魅
力的な街になるといいなって。
てのメディアがバイリンガル。日本人も外国人も同じ感覚で楽しめるイベントになる。これをきっかけに、東京が世界一の魅
力的な街になるといいなって。
ダイサム
DESIGNART 2020では、満員の新国立競技場でPechaKuchaやりたいです。例えばセミファイナルを地方都市で
やって、ファイナルを新国立競技場でやる。
やって、ファイナルを新国立競技場でやる。
クライン
オリンピックの後もどうやって盛り上がり続けるか。オリンピックとともに東京からカルチャー・アート・デザイ
ンを盛り上げていきたいですね。
ンを盛り上げていきたいですね。
ダイサム
DESIGNARTにはポテンシャルがある。来年は海外からもっと人が来るしスポンサーも集まる。2020年までには
もっと大きいイベントになっているはずです。
もっと大きいイベントになっているはずです。
クライン
今年は初年度でうまくいっていないこともたくさんあるけど、私は必ず大きく成長させていけると信じてます。み
んな心配してる? 日本人は心配性?
んな心配してる? 日本人は心配性?
一同
(口を揃えて)全然心配してない!
靑木
何たって信頼できる仲間がいますから。
小池
実際はすごく大変だったりするけど(笑)。
永田
どうにかなるってみんな思ってる(笑)。
クライン
そう、どうにかなるって。簡単ではないのはみんなわかってるし、できなかったらしょうがない。
川上
僕らが面白いのは、真面目な人がいないことだね。
一同
え~?(笑)そう?
川上
いい意味で!日本ではデザイナーはすごく真面目。クラアントワーク中心で。一方アーティストは自由。ある意味不真
面目?(笑)デザイナーは1+1の正確な答えを出す。でもこのメンバーはみんな両方の要素をもってる。例えばクライン&ダ
イサムの建築は正解な建築じゃないし、施主が求めている建築そのままではない。
面目?(笑)デザイナーは1+1の正確な答えを出す。でもこのメンバーはみんな両方の要素をもってる。例えばクライン&ダ
イサムの建築は正解な建築じゃないし、施主が求めている建築そのままではない。
ダイサム
一応、水漏れはしないですよ(笑)。
川上
100点じゃなく、150点を出す人たちが集まっている。DESIGNARTって言葉も面白くて、数式的なデザインではなくて
アート性のあるデザイン、つまりDESIGNARTが評価される場所にできたらいいなと。
アート性のあるデザイン、つまりDESIGNARTが評価される場所にできたらいいなと。
予測不能なものが出てくるのが東京らしさ
クライン
デザインの意味はとっても広い。工業デザインでなく、私たちは今、ムーブメント、雰囲気、イベントをデザイン
しているんです。
しているんです。
ダイサム
今はまだDESIGNARTという言葉には意味がない。だから自然に言葉の意味ができてくるのがいい。今は何なのか
も、何が出てくるのかもわからない。
も、何が出てくるのかもわからない。
青木
その何が出てくるのかわからないところで、海外の都市に比べて東京の特性を考えたら、最大の特徴は超ミックスカル
チャーな都市ってことだった。
チャーな都市ってことだった。
ダイサム
デザインが強くなるのか、アートが強くなるのか、ファッションなのか全然わからない。
小池
予測不能なものが出てくるのが東京らしさ。
青木
そこに感化された人たちが横でつながっていくと、今まで出会わなかったクロスオーバーが生まれる。
ダイサム
PechaKuchaはまさにその考え方。いろんな領域の人がいろんな発表をするのが醍醐味だから。
青木
もう一つ大事にしたいのは一般のお客様の目線を引き上げること。“感動のある暮らし”というのも、本当は高揚感を得
られるいいものを所有したいのに、安価なインテリアブランドがあることで、現代人はそれを諦めている気がするんです。
でも今回紹介するインテリアローンを使えばアートや家具も買える。DESIGNARTでは基本的にすべての作品に値段をつけて売っ
ています。期間中街を巡ってアートが買える仕組みを知ってもらえば、アートがもっと売れて若手作家の励みにもなる。
られるいいものを所有したいのに、安価なインテリアブランドがあることで、現代人はそれを諦めている気がするんです。
でも今回紹介するインテリアローンを使えばアートや家具も買える。DESIGNARTでは基本的にすべての作品に値段をつけて売っ
ています。期間中街を巡ってアートが買える仕組みを知ってもらえば、アートがもっと売れて若手作家の励みにもなる。
クライン
小さな幸せをお家に持って帰れるね。
青木
アートは心を豊かにしてくれるものなのに、入り口が狭かった。ギャラリーってハードルが高くて入りづらい。そこに入り
やすくするのがDESIGNARTの役割。
やすくするのがDESIGNARTの役割。
ダイサム
全体のデザインはすごくリラックス。誰でも紹介できるしアプローチできる。クリアでフェア。
クライン
過去のデザインイベントはビジネスっぽすぎた。ぶらり散歩の気持ちで楽しむ。その軽さが大切。
青木
日本って箱物文化。だから僕らは今あるものを利用して負荷をかけずに持続できるエコシステムをつくりたい。それが
これからのやり方だと思うし、東京らしい。
これからのやり方だと思うし、東京らしい。
クライン
ON THE TRIPのアプリがあるから、東京の裏側もどんどん紹介したいよね。どんどんディープになると面白くな
る。東京は裏とかアンダーに魅力がある。
る。東京は裏とかアンダーに魅力がある。
川上
僕はそのうち、DESIGNARTに出展費を払わずに裏で勝手にやる人が増えたらいいと思ってる。
一同
それいいね、最高!
川上
どさくさに紛れて、個展やライブやったり。
永田
若手には出展者無料でいいよってのもありかも。
青木
そういう仕組みをつくって若手支援をどんどんしていきたいですね。それにしても、みんなピュアだな~。
クライン
ビジネスなら赤字だと思う、それでもやるのは人のためだから。
青木
自分だけ成功しようと思ってたら続かない。循環して若手につなげていくと東京は常にエキサイティングな街になると
思う。楽しみながらやってる、みんなそう。
思う。楽しみながらやってる、みんなそう。
永田
共感で始まり、いろんな人の共感を集められる。
青木
だからこそ一過性のイベントで終わるんではなくて、会社として持続可能な活動にしていきたい。今は言えないけど、
そこには次のビジョンがあるんです。ただ、その話はもう少し後にお話ししますね!
そこには次のビジョンがあるんです。ただ、その話はもう少し後にお話ししますね!
予期せぬ出会いを、ただ楽しみにしています
6人の発起人は、それぞれ一線で活躍されている方々なので、僕自身がどうこうというより、みなさんに自由にやっていただき、それぞれがうまく流れていくための潤滑油的な役割をしていきたいですね。僕はもともとクリエイターでなく営業やマーケティングの領域で生きてきたので、デザイナー/アーティストの想いをつなげていくことに注力したいです。DESIGNARTをやることについては、新しいイベントだし、僕は東京でデザインイベントが盛り上がっていた時期を体験したことがない世代なので、だったら自分で盛り上げる役をやってもいいなと思い、ロンドンから戻って引き受けました。こんな偉いポジションになると思わなかったので、責任の重大さを痛感しています。ただ、すごくいい経験なので、存分に楽しみながら、苦しみながら、この活動を成長させていきたいと思っています。
founder profile
MIRU DESIGN
director / founder of MIRU DESIGN
director / founder of MIRU DESIGN
青木 昭夫
1978 年生まれ。2005年~ 09 年デザインイベント「DESIGNTIDE TOKYO」のディレクターを経て09年MIRU DESIGN を始動。
プロダクト・インテリア・建築・グラフィックなどさまざまなデザイナーのネットワークを生かし展覧会や商品開発の企画・プロデュースを行う。
話題のプロジェクトを数多く手がけている。
www.miru-design.com
プロダクト・インテリア・建築・グラフィックなどさまざまなデザイナーのネットワークを生かし展覧会や商品開発の企画・プロデュースを行う。
話題のプロジェクトを数多く手がけている。
ARTLESS INC.
conductor of design, artist, founder of artless Inc.
conductor of design, artist, founder of artless Inc.
川上シュン
1977年東京都生まれ。2001年artless Inc.設立。ブランディングを中心に活動し、企業やブランドの総合的ビジュアル戦略やテクノロジーを用いた視覚的表現、エキシビション、プロダクト、建築や空間に至るアートディレクションまで、活動領域は多方面にわたる。アート的アプローチによる独自の表現に定評がある。
www.artless.co.jp
NON-GRID/IMG SRC
creative director, founder of NON-GRID INC./ IMG SRC INC.
creative director, founder of NON-GRID INC./ IMG SRC INC.
小池博史
テクノロジー、デザイン、アートに精通し最先端のデジタルテクノロジーを取り入れたデザイン性の高いクリエイティブ作品を発表し国内外のクリエイティブ・アワードを数多く受賞。近年は、プロダクトやサービスの自社開発も行いコトやモノを生み出す多様なプラットフォームを次々とプロデュースしている。
www.non-grid.com
EXS
producer, creative director, director of EXS
producer, creative director, director of EXS
永田宙郷
1978年福岡県生まれ。金沢21世紀美術館勤務、デザイン事務所勤務を経て、イクスに入社。アート・伝統工芸から企業の新規事業開発まで幅広い分野の課題を解決するプランドデザインとそれらを具体的に伝えるためのプロジェクトの
プロデュースを中心とした活動を行う。5月オープンの『THINK OF THINGS』を手がけた。
www.exs-inc.com
KLEIN DYTHAM ARCHITECTURE
architect, creative director, co-founder of Klein Dytham architecture
architect, creative director, co-founder of Klein Dytham architecture
アストリッド・クライン
イタリア・バレーゼ生まれ。ロンドンのRCA(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート) 卒業。1988年から日本でデザイン活動を始め伊東豊雄建築設計事務所で働いたのち
91年にマーク・ダイサムとともにKDaを設立。デザインや建築に関する国際会議にも多数出席。国内の大学だけでなく、欧米での講義も行う。
www.klein-dytham.com
KLEIN DYTHAM ARCHITECTURE
architect, creative director, co-founder of Klein Dytham architecture
architect, creative director, co-founder of Klein Dytham architecture
マーク・ダイサム
イギリス生まれ。ロンドンのRCA (ロイヤル・カレッジ・オブ・アート) で建築を学び1989年に来日。伊東豊雄建築設計事務所を経て91年アストリッド・クラインとともにKDaを設立。大学での講義のほかイベントのスピーカーも務める。2000年に英国女王より名誉大英勲章 MBE (Member of the British Empire medal) の称号を授かる。
www.klein-dytham.com
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