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SPECIAL INTERVIEW | THE LIONS

2050年に生まれるであろう、「人生の価値を高める理想の“THE LIONS”」を考える

1968 年の誕生以来、日本を代表する住宅ブランドであり続けた「ライオンズマンション」。 手がける大京は、55 年の時を経て、「THE LIONS」へのリブランディングを発表した。 新たなコンセプトとして掲げた言葉は、“人生には価値がある”。 次世代のマンションをビジュアライズした今回の展示について、 クリエイティブディレクターの榊 良祐、建築家の豊田 啓介にその背景を聞く。

―未来に求められるマンション像を考えるにあたって、なぜ2050 年という設定に?

榊 飛躍的なアイデアを出すためです。課題が思い浮かぶ2030 年より少し先で、バックキャストして考えるにはちょうどいい時期だなと。

豊田 普段、建築は法律や安全性が絶対なので、デザイン業態の中でも制約が多い。夢物語を描きながら思考できる機会はすごく貴重です。

榊 今回の展示は、大京全社員が取り組む「DAIKYO NEXT ONE PROJECT」の一環。THE LIONS に求められるものを考えるインプット、アウトプット、発信のサイクルを繰り返しながら、次世代のスタンダードを探っています。実はライオンズマンションって、オートロックや宅配ボックス、環境共生を先駆けて採用してきた歴史がある。変わることを恐れず、変化を必要としている社会にコミットしていく企業だからこそ、未来を描くビジョンドリブンの進め方が向いていたと思います。
DAIKYO NEXT ONE PROJECT

―ワークショップを通じて社員からのアイデアを募った後、どのようにブラッシュアップを?

榊 大事なのは、THE LIONS を“人生の価値を高めるマンション” と定めていること。大京が考える“いいマンション” は、暮らす人の人生そのものを豊かにする。本来であればまず立てないコンセプトです。「本当に幸せなマンションって何だろう」と考えるのは、僕自身面白かった。ウェルビーイング研究者の石川善樹さんをワークゲストに招き、人が本質的な豊かさを感じるマンションには、多様な居場所と役割があって、移動し続ける、つまり常に変化や発見があることが重要という方向性に辿り着きました。
豊田 で、それを体現する建築ってどんなものなのか。建築は“不動” 産で、移動しないという宿命があります。それを「いや、動けると仮定したらどうだっけ?」と見つめ直すことは、使い方やコミュニティまで関わってきて、リブランディングを超え、生き方を考える本質的な問いだと感じています。
THE LIONS JOURNEY

―導き出されたのが、自由自在に移動するレジデンス「journey」。空想ではないリアルさを感じます。

榊 多拠点居住が極まった形です。自分の居場所を探し続けて、各地で多様なコミュニティに接続できる。家というより、生き方を買うことになると思います。イメージを具体化する中で意識したのは、夢だけで終わらせず、クリティカルな課題を解決したストーリーもないとダメだという点です。

豊田 僕はよく“職住楽学医” と表現しますが、職住は離散しつつある一方で、教育と医療はまだまだ。多拠点居住をしたくても、いい学校や病院のそばは離れられないという課題があります。でも、場所と身体性の制約は技術で流動化させることができる。例えば、離れた場所に空間ごと映し出す革新的なテクノロジーで学校を繋げば、世界最高峰の教育を山の中で受けることも、海でしかできない学びを都会で受けることも可能です。全国の拠点をプラットフォーム化して、“住” 以外に教育や医療も、日本中、世界中とシェアできるようになれば、ものすごく可能性がある。住む理由になるし、固定されない自由な生き方を選べます。THE LIONS の規模とネットワークがあるからこそ実現できることだと思います。
榊 業態のあり方自体にも問いを投げかけるアイデアですよね。ライオンズマンションは高度経済成長期の核家族を支えてきた存在。あのロゴ、あのレンガの外観は、安定した生活の象徴でもありました。今は、もっと流動的で、個人の価値観に合わせて選べることに価値がある。“不動”産という定住を前提として場所に価値を見出すのではなく、魅力的な生き方を求めて住まいを選ぶ。本質的な住まいのあり方を示せる企業は、これからも選ばれ続けるはずです。

―ビジョンを発表した後、どのような反応や展開を期待していますか?

豊田 さまざまな分野で多様性が求められていますが、建築も同じだと実感しています。物理的にも、契約や所有の形としても、グラデーションの中でより軽く、ゆるくなっていくだろうなと。建築やデザインとして今回ひとつの解を出したことで、広がっていく反応を楽しみにしています。

榊 概念を覆して、「確かにそれって豊かだよな」とハッとさせたい。展示の裏側にある文脈まで感じていただいて、自分の人生を考えるところまでいけたらすごくうれしいですね。

TEXT : Aika Kunihiro
PHOTO : Yusuke Owashi

BRAND / CREATOR

榊良祐

榊良祐 Sakaki Ryosuke
Creative Director / Future Vision Studio 代表

2004年Art Director として電通入社。2020年より未来の飛躍可能性をデザインする「Future Vision Studio」を設立。

VUCAの時代に適応したビジョンドリブン型の事業開発を提唱し、多様な企業・産業のクライアントとの未来開発を共創・推進している。

これまでの未来開発の経験を「未来妄想学」として体系化し、2023年より東京大学の非常勤講師を務める。

未来食産業共創プロジェクト”OPEN MEALS” を主催。フードテックアーティストして活動。

近年のプロジェクトに、宇宙食市場共創プロジェクト”space foodsphere”。スポーツを軸にした都市開発『北海道ボールパーク』。東京都との『東京防災』プロジェクトなどがある。

グッドデザイン金賞ほか国内外受賞多数。

https://futurevision.studio/

豊田啓介

1972年、千葉県出身。1996~2000年、安藤忠雄建築研究所、2002~2006年、SHoP Architects(ニューヨーク)を経て、2007年より東京と台北をベースに建築デザイン事務所 NOIZ を蔡佳萱と設立、2016年に酒井康介が加わる。2017年、「建築・都市×テック×ビジネス」をテーマにした領域横断型プラットフォーム gluonを金田充弘と設立。コンピューテーショナルデザインを積極的に取り入れた設計・開発・リサーチ・コンサルティング等の活動を、建築やインテリア、都市、ファッションなど、多分野横断型で展開している。大阪・関西万博2025 誘致会場計画アドバイザー(2017年~2018年)。建築情報学会副会長(2020年~)。大阪コモングラウンド・リビングラボ(2020年~)。一般社団法人Metaverse Japan 設立理事(2022年~)。2021年より東京大学生産技術研究所インタースペース研究センター特任教授。

https://noizarchitects.com/

THE LIONS

日本全国へ分譲マンション事業を展開し、
55年の歴史を持つライオンズマンションは、
2023年、THE LIONSへと生まれ変わりました。

人生は素晴らしい、生きることには価値がある、
心の底からそう思える日々を実現するために。
「人生には価値がある」をコンセプトに、 THE LIONSは
マンションをつくる会社から、次の価値をつくる会社へ。

そんなTHE LIONSが、
「2050年の人生を豊かにする究極のマンションとは?」という問いに向き合い、
未来のマンションをご提案します。

https://lions-mansion.jp/thelions/
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