A Day in the Harvest

丁寧につくられた道具に作り手の機微を感じ、箕に記された月日に彼の人を思い描く。置き去りにされていた道具たちを。忘れさられた日々を。この時代で繋ぎ、ここから始まる物語を紡いでいく。過去の面影は余韻として在り続ける。それは曖昧な空想ではなく、確かに在ったという実感として。足を備え立ち上がった古い道具たちは、意志を持った生きモノとして私に語りかけ、その存在の愛おしさに気づかせてくれる。

2023年。日々変化する地球環境や世界情勢のうねりは、それを目の当たりにし苦しむ人々や、メディアを通して理性に問いかけられる「なぜ？」を突きつけられる日々に隙間なく流れ込んできます。その状況に翻弄されて自身を見失わないために、目に見えないものを視ることのできる意志を、手に触れることのできないものに触れる感性を。

人間はすでに多くのものを手に入れ、これからも技術は革新的な発展を続けていきます。
だからこそ、そういった技術革新ばかりに問題解決を委ねるのではなく、私たち自身が手にすべきものは何か、どんな行動を起こすべきなのかということに好奇心をもって向き合っていくことを願います。