INTERVIEWS

FIVE ARTISTS UNDER 30

未来を切り拓く5組の新鋭

DESIGNART TOKYO の発起人たちが将来が期待される30歳以下の5組のクリエイターを独自の目線で選出するUNDER 30。
今年も多くのエントリーの中から選出された、デザイン&アート界の明日を担う5 組が注目の展示をおこないます。
ここでは、今年選出された5組を、セレクターである発起人達のコメントとともにご紹介いたします。
Photographer : Ronald Smits

Leo Koda|In Fill Out

スイスのECALを卒業後、オランダのアイントホーフェンを拠点に活動を行う。遊び心に満ちたアイデアと軽快なアプローチの裏には、繊細な理解と、背景への深いリサーチが 備えられている。3Dプリントの「インフィル」という内部構造に着目し 、オブジェクトをお 湯で茹でることで膨らませ、ユニークな色と形を生み出すプロジェクト『In Fill Out』を発表。

Selected by 小池博史 / NON-GRID
「2013年3Dプリンターは革新的な技術として大きな注目を集め急速に普及しました。それから10年が経ちますが性質上プロトタイピングとして活用され製品化としてはまだこれからと感じます。そのような中、この作品は3Dプリンターの性質を活かしたデザイン性の高い製品に仕上がっていると感じます。また、煮沸というお料理するようなフィジカルな体験とそこから生み出されるデザインは、昔なつかしいソフトビニールグッズのような可愛らしさがあり愛着が持てそうです。「温故知新」とは逆説にテクノロジーからアナログな体験とデザインが生まれるプロセスに新しさと面白さを感じます。」
© Gala EspelGala Espel | Archaeology of the Future

Gala Espel |Archaeology of the Future

ガラ・エスペルは、パリと東京を拠点に活動するフランスの建築家 ・デザイナー。数々の受賞歴を持つ。
彼女の創作活動はリサーチとクラフトに根ざしており、そこからストーリーやフォルムが生まれる。多文化の視点と、職人とのコラボレーションを通して「デザイン」を絶えず再考する。
パリのカモンドデザイン学院、スイスのECAL学院で学ぶ。2022年卒業。在学中の2020年、studio nendo のコンペで優勝、日本での活動を始める。同年、シャネル「19M  」のオープニング装飾デザインを手がけ、熟練した職人技術への自身の役割を示した。
フランス文化省の公募プロジェクト受賞、国費留学生としてニューヨークのヴィラ・アルベルティーヌに滞在。エスペルはこの国際的な経験と実践から文化をより深く探求し、産業とクラフトの関係、モノそのもの、モノが人類やその日常とどのようにかかわっているのか、を長期にわたって熟考していくことになる。ガラ・エスペルの作品はパリの装飾美術館の展覧会やミラノデザインウィークで展示された他、数々の名だたるデザイン関連機関で展示されている。
DESIGNART Tokyo 2023 で展示される「Archaeology of the Future」はヴィラ・ノアイユで開催されるDesign Parade展にも選ばれている。

Selected by 青木昭夫 / MIRU DESIGN
人と人を繋ぐ媒介としてコンセプチュアルデザインを提唱しているデザイナーであり、彼女の生み出す作品はいつもチャーミングで彫刻的だ。今回、考古学では一般的な写真測量を用い、身近にある工業製品をスキャンし、さらに自然物が融合させることで、それはやがて時空を超え「未来の化石」になるという。その壮大なアプローチに驚きを隠せなかった。
「未知」を組む組子

鈴木舞|「未知を組む組子」

1998年東京生まれ。「生粋 namaiki」主宰。“粋”をさまざまな視点から探求し、“粋”の宿る伝統工藝「組子」を通じて「真の豊かさとは何か」を問う。組子職人のもとで技術を学び部品を3Dモデル化。伝統工藝とテクノロジーを組み合わせ、未知なる可能性をデザインする。株式会社電通を独立後、プロダクトデザインを軸に戦略企画から携わる。現在、東京都「江戸東京きらり」の事業者の最年少パートナーとしてプロジェクトを牽引する。
主なメディア出演に、日経MJ(2023)、TSKテレビ「TAKUMI」(2022)、「AXIS Web magazine」(2022)、「The Japan Times」(2022)、「商店建築(1月号)」(2023)、「装苑(3月号)」(2023)がある。

Selected by 川上シュン / artless Inc.
「組子」という繊細な文様を描く伝統木工芸を、次世代的感性とアプローチで新たなフォルムや陰影を生み出している試みは、これからの新たな日本的美の流れに繋がっていくであろうと、とても興味深く感じ選出させてもらいました。
photo by Shotaro Tokioka

21B STUDIO| ink couture project

有村大治郎・コエダ小林・時岡翔太郎の3名によるデザインスタジオ 。「よりやわらかな発想で、芯のあるアイデアを。」をコンセプト に掲げる彼らは今回、オフセット印刷機の廃インク清掃で使用した不織布を新たな素材として捉え、その可能性を見出すデザインプロジェクト「ink couture project」を発表する。

Selected by アストリッド・クライン、マーク・ダイサム / Klein Dytham architecture
今年の審査の中で一番印象的だったのが「21B STUDIO」の作品でした。「果実の楽器」や「印刷染め」などの彼らのプロジェクトからは、日常的な物やプロセスの隠れた側面を発見する、驚くべき才能を感じます。あえて焦点をずらし、それらの要素を可視化することで、新たな存在や意味を与えています。こうした「21B STUDIO」の作品をとおして、私たちの経験を豊かにし、一見ありふれたものの美しさや意義に目を向けさせてくれます。
Photo by Soichiro Tanaka

So Tanaka | Vnsh

武蔵野美術大学を卒業後、東京を拠点に活動。素材、自然現象、他分野の芸術や哲学に触発され、空間を媒体とした抽象詩としての家具や照明を生み出す。「周囲を照らし、自らも光の中に消えていく照明」という発想をもとに「意識」や「関係性」に主眼を置いた新たな照明作品vnsh(ヴァニシュ)を発表する。

Selected by 永田宙郷 / TIMELESS
田中さんの作品は、その存在が静かに作用して空間に微妙なルールや緊張感をもたらしてくれます。まるで寺社仏閣や日本庭園で使われる「関守石」のような印象を受けます。そんな作品を作り出すにために、きっと、社会の文脈や空間づくりなど多様な要素をしっかりと考察しながらデザインをされているのでしょう。作品自体の素晴らしさは勿論のこと、そんなデザイナーに出会えたこと自体が、僕にはとても嬉しい驚きでもありました。

BRAND / CREATOR

Selectors of U30

DESIGNART 発起人
左から:永田宙郷(TIMELESS)/川上シュン(artless)/青木昭夫(MIRU DESIGN)/アストリッド・クライン(Klein Dytham architecture)/マーク・ダイサム(Klein Dytham architecture)/小池博史(NON-GRID)/

https://designart.jp/

Beyond magazine

WEBマガジン「Beyond」では、 UNDER 30の特集を掲載中。
彼らの制作に込めた思いに触 れることで、作品の解像度はさらに上がります。ぜひご覧ください!

Beyond magazineによるU30の特集はこちらから

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