FOUNDERS INTERVIEW
DATE:2018年3月27日 Founder INTERVIEW
いま、なぜDESIGNART?

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DESIGNARTは、“東京からクリエイティブ産業を活性化させる”という強い想いをもつさまざまな業界で活躍する5組6
の発起人によって、自発的に立ち上がった活動です。なぜ今、彼らは東京でDESIGNARTを始動しようと思ったのでし
ょうか?
彼らに集まってもらい、この活動にかける熱い想いをじっくり語ってもらいました。
photographs: Taku Kasuya
Text: Dai Takeuchi @river

みんなジャンルと視点が違うのがいい

青木昭夫(以下:青木) 8年前くらい前から景気の悪化で、街中のウインドーが全体的にレベルが低くなって、観せる・観
ることの感動が薄まった感じがしたんですね。そのころからデザインやアートで、東京のいろんな場所や人がどんどんつなが
れるようなことをやりたいと思ってて、去年あたりからその想いがすごく強くなった。志を同じくする者同士が集まり少しず
つ投資すれば、何かできるんじゃないか。今誰かがやらないと東京の街が元気にならない。それをどうやって実現するかと考
えたときに、最初に相談したのが(川上)シュンくんだった。
川上シュン(以下:川上) 相談されて思いついたのが小池(博史)さんと(永田)宙郷くん。小池さんはデジタル、宙郷く
んは職人とのネットワークがあり、僕はグラフィックとみんなジャンルと視点が違うのがいいなと。そこでクライン&ダイサ
ムにも声かけようってなった。
青木 日本人だけで固まっちゃうのはよくないからね
アストリッド・クライン(以下:クライン) そうそう、外人必要だよ(笑)。
川上 で、オープニングに何やるか話してたときに、青木くんが「PechaKucha 20×20(クライン&ダイサムが主催するプレ
ゼンイベント)」のでっかいのをやりたいって言うから、それはいいシナジーを生むよねって。どうせなら世界から人を呼ん
だらいいねってなった。
クライン みんなが違うネットワークをもっているから、世界からいろんな人を呼んで新しいつながりをつくればいいよね。
永田宙郷(以下:永田) 今までのデザインイベントは、狭いコミュニティが集まる内輪のイメージがあった。領域を広げて
「デザインで何ができるか?」を考える人が増えるイベントをやらなくちゃって僕も思ってた。
クライン 私はデザインイベントはスケールバックしたほうがいいと思ってた。量より質が大事だって。
マーク・ダイサム(以下:ダイサム) 東京にはいいデザイナーやアーティストがいっぱいいるのに、彼らが発表できる
ショーケースがない。『Dezeen』とか海外の雑誌に取り上げられても、東京では全然紹介されなくて。
永田 オリンピックのロゴマーク問題をきっかけに日本のデザインの課題も表面化してきたし、社会も大きく変わろうとして
るし、デザインの可能性を考えるには、ちょうどいい機会だと思ったんです。小池さんとも話してたんだけど、僕らが発起人
としてDESIGNART始めるっていうと、協力したいっていうクリエイターが周りにたくさんいる。彼らにデザイン関連の書籍を選んでもらいウェブで紹介すると、ユーザーには会期中だけでなく常にデザインに接する機会ができるんです。DESIGNARTの活動を持続的に支えること。そこに僕のような仕組みづくりができるプランナーが参加する意義がある。この活動をどう支えていくのかが、僕や小池さんの役割かな。
小池博史(以下:小池) 僕は話をもらったときに、東京にデザインイベントが必要だと思ったし、やりたいという気持ちがすごく理解できたし共感できた。それにみんな知ってるから疑問も不安もなかった。僕はデジタルがメインなので、日常的にフィジカルのデザイン&アートに触れることがないから楽しんで参加してます。デジタルをうまく使って、活発にコミュニケーションできるアイデアを広げていきたいですね。サイトを運営しているので、宙郷くん同様継続的な活動をしていきます。
川上 僕はコンダクター的な立ち位置かな。ロゴをはじめ、全体のトーン&マナーや空気感をデザインする。温度や音質をつ
くって、みんなに自由に演奏してもらう。タクト振っているくらいというか。空気感だけつくればみんな優秀だからディレク
ションはいらないんです。
クライン 役割ではないんですよ。ブレストをやって刺激し合うのが大事。シームレスに、みんなの知識や経験をコンバイン
してやる。チームワークが重要です。
ダイサム みんな信用できるからすごくイージーですね。僕なんか最初はコンセプトがわからなかったけど。みんなと話して
いるうちにどんどん理解できてきた。
永田 それぞれが得意なことを自由にぶつければいい。
川上 僕らは5種類のプロがいる集団なんですよね。
青木 しかもみんな横断的に交流できる。軸足はそれぞれの領域だけど、全方向に動いたりつながったりできる。
川上 DESIGNARTでなら、みんなで東京からカルチャーやムーブメントをつくれるんじゃないかって思った。
クライン 人がハッピーになることが大事。一方通行じゃなくて、人と人が交流して盛り上がることでいい思い出ができる。
そんな体験が街中に毎日もっとあっていい。
青木 みんなが主役で、何かやりたい、人をハッピーにしたい。そう思う人が自由に参加できる仕組みを目指しています。誰
でも参加できて頑張ればスターになれる、そんなチャンスを生む土壌をつくりたい。若い人がスターになって東京からクリエ
イティブ産業を活性化していく、それがDESIGNARTの持続的な目標です。

東京が世界一の魅力的な街に

永田 個人的にはいっぱい観たい。今までのイベントは水族館的で、未知のものに出合える感じがなかったけど、今回は畑を
つくる感じ。街中の畑にいろんな種を蒔くことで、予期せぬ作物との出合いが待っている気がします。
クライン インタラクティブでシームレスなの。
小池 ある意味まちづくりですよね。これが東京で成功したら横展開すると面白い。日本には魅力的な街がいっぱいあるし、
海外にもDESIGNARTのコンセプトは通じると思う。DESIGNARTが世界の共通語になるかも!?
川上 そのためにはバイリンガルが重要。日英を同じ音量で届けられる、東京はそういう街であればいい。だから今回はすべ
てのメディアがバイリンガル。日本人も外国人も同じ感覚で楽しめるイベントになる。これをきっかけに、東京が世界一の魅
力的な街になるといいなって。
ダイサム DESIGNART 2020では、満員の新国立競技場でPechaKuchaやりたいです。例えばセミファイナルを地方都市で
やって、ファイナルを新国立競技場でやる。
クライン オリンピックの後もどうやって盛り上がり続けるか。オリンピックとともに東京からカルチャー・アート・デザイ
ンを盛り上げていきたいですね。
ダイサム DESIGNARTにはポテンシャルがある。来年は海外からもっと人が来るしスポンサーも集まる。2020年までには
もっと大きいイベントになっているはずです。
クライン 今年は初年度でうまくいっていないこともたくさんあるけど、私は必ず大きく成長させていけると信じてます。み
んな心配してる? 日本人は心配性?
一同 (口を揃えて)全然心配してない!
靑木 何たって信頼できる仲間がいますから。
小池 実際はすごく大変だったりするけど(笑)。
永田 どうにかなるってみんな思ってる(笑)。
クライン そう、どうにかなるって。簡単ではないのはみんなわかってるし、できなかったらしょうがない。
川上 僕らが面白いのは、真面目な人がいないことだね。
一同 え~?(笑)そう?
川上 いい意味で!日本ではデザイナーはすごく真面目。クラアントワーク中心で。一方アーティストは自由。ある意味不真
面目?(笑)デザイナーは1+1の正確な答えを出す。でもこのメンバーはみんな両方の要素をもってる。例えばクライン&ダ
イサムの建築は正解な建築じゃないし、施主が求めている建築そのままではない。
ダイサム 一応、水漏れはしないですよ(笑)。
川上 100点じゃなく、150点を出す人たちが集まっている。DESIGNARTって言葉も面白くて、数式的なデザインではなくて
アート性のあるデザイン、つまりDESIGNARTが評価される場所にできたらいいなと。
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