INTERVIEWS

FIVE CREATORS UNDER 30

未来を照らす5組の革新者

DESIGNART TOKYOの発起人たちが、将来が期待される30歳以下の5組のクリエイターを独自の目線で選出するUNDER 30。 今年も多くのエントリーの中から、選出されたデザイン&アート界の明日を担う5 組が注目の展示をおこないます。
©AAAQ

AAAQ | Visible Stress

プロダクトデザイナー/プロデューサーの都淳朗・UIデザイナーの太田壮によるクリエイティブ・ユニット。AAAQは“Answer(答え)を作って作って作って、新しいQuestion(問い)を生む“というフィロソフィーのもと、感性と研究に基づく制作を行っている。作品「Visible Stress」は “光弾性(photoelasticity)“と呼ばれる目には見えない秘めた力を鮮やかに可視化する現象を利用し、負荷によって生まれる光のテクスチャを鑑賞することが出来る。
Selected by 小池博史 / NON-GRID
DESIGNART TOKYOならではの実験的アプローチで、アートやプロダクトデザインにおいて新しい発見と革新をもたらす作品です。光弾性技術を活用したテクスチャは、材料に応力が加わることで生じる光の変化を利用し、ダイナミックで美しいパターンを創出します。この現象を通じて、目には見えない秘めた力への興味を引き出し、自身と周りの在り方を再考するインタラクティブ性が、私たちの生活空間に新しい価値をもたらすのではないでしょうか。

HOJO AKIRA | Is that structure essential?

金沢美術工芸大学卒業。現在はインハウスデザイナーとして勤務しながら、個人活動もおこなう。マスプロダクトを中心にデザインを行うことが多いことから、軸足を量産に置くことで感じる利点と違和感を分解・再構築し、構造や接合方法に焦点を当てたプロダクトを提案。「Is that structure essential?」と題し、マスプロダクトが伴う歪みに感じる違和感への本質へ目を向けた新たな価値を発表する作品となる。
Selected by 川上シュン
デザイナーとして不確定でありながらも過剰なマスプロダクトに対して違和感を抱いている。自問自答を繰り返しながら自己表現としてプロダクトデザインへ落とし込むアプローチ、そしてリジェネラティブな観点を内包しながらも高いデザインクオリティの着地に共感しました。私自身もマーケットリードではなく、ビジョンリードなブランディングアプローチを重視して活動しているため、この感覚を応援したく、選定させてもらいました。
photo by Yasunari Kimura / FFP©
テキスタイルアーティスト/デザイナー。「布」という存在を民族の内包する文化、習慣、信仰などが蓄積された“やわらかな化石”と捉え、独自の実験的なアプローチによるテキスタイルデザイン、アートワークの制作を行う。「COCOON ANATOMY-繭を解く-」では、近年衰退の一途を辿りつつある養蚕文化に着目し、絹の廃棄物から作り出される新たな生産プロセスによる衣服を発表する。
Selected by アストリッド・クライン、マーク・ダイサム / Klein Dytham architecture
テキストタイルアーティストの池部ヒロトさんは、このプロジェクトを通じて、伝統的な製糸業に新たな意味を吹き込み、日本人が大切にしている“MOTTAINAI(もったいない)”精神を思い出させてくれます。また、資源を大切にしてアップサイクルすることで、廃棄物の削減を可能にしており、このような人々と自然とのつながりを再提言する動きは、現代でも必要とされています。彼の作品は、最新の技術を使って絹に対する新しい解釈を生み出し、廃材や廃棄物から生まれたことをまるで感じさせない仕上がりです。伝統的な絹の着物に感嘆するように、彼の革新的で複雑な洗練された作品に感動すること間違いないでしょう!

Saki Takeshita | Eeyo

武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒。ものと人と空間の関わりをテーマとし、素材に触れながら手で作り考えることを大切にしている。本展ではバルサ材を染色、200度近い熱風を当てて色を変化させ、グラフィカルに展開した作品「Eeyo(イーヨー)」を発表。独自の方法で木目の表情やテクスチャをそのままに、グラフィカルな加工をするこの作品は、木材のプロダクトデザインの新しい表現方法となる。
Selected by 青木昭夫 / MIRU DESIGN
竹下早紀さんは今回、多孔質で知られる針葉樹の木材を染色し、熱風をあてることで緑色がピンク色に、青色が赤色に変化するグラフィカルな家具シリーズを手がけました。その制作過程はまるで魔法のようです。また近年ウッドショックと呼ばれるように木材価格が高騰し、世界的に幅の広い木材が採れなくなっている今、小径木をうまく活用したデザインに仕上げており、サスティナブルでありながら、色彩や模様が豊かな作品に。環境を意識するがあまり真っ当すぎるものになってもつまらない。そこには竹下さんならではの独創的な発見がありました。東京ミッドタウン六本木での展示が待ち遠しいです。
TORI

Straft | Exhibition “NEST”

Tamaki IshiiとKazuma Yamagamiによるクラフトユニット。東京造形大学インダストリアルデザイン専攻を卒業。お米を収穫した後に残る稲わらを主な素材として扱い、伝統的なスタイルに現代的な感覚を取り入れた作品を制作している。本展では「Exhibition “NEST”」と題し、昔から屋根や壁、生活に必要な道具としてだけでなく神事にも用いられるなど、祈りの対象物として敬ってきた稲藁を使った作品を展示する。
Selected by 永田宙郷 / TIMELESS
Straftの作品を見たときに粗野さや野生さがまず目を引くが、次第に「“藁”が呼び起こしてくれる記憶がきっとあるはずだ」「“藁”が切り開いてくれる未来もきっとあるはずだ」と想定外の気づきが沸き起こってくる。自然素材や地域素材を古くさく融通が利かないと思わせてきたきらいのあるモダンデザインに対し、彼らの自然素材を単に目新しく見せるだけでなくその本来もつ強さをしっかりと前に出してくる表現は、これから起こるであろう自然素材の逆襲というか反撃を期待させる。

BRAND / CREATOR

Selectors of U30

DESIGNART 発起人
左から:永田宙郷(TIMELESS)/川上シュン(artless)/青木昭夫(MIRU DESIGN)/アストリッド・クライン(Klein Dytham architecture)/マーク・ダイサム(Klein Dytham architecture)/小池博史(NON-GRID)/

https://designart.jp/
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