INTERVIEWS

FIVE ARTISTS UNDER 30

未来を切り拓く5組の新鋭

デザイナートの発起人たちが独自の視点で 将来が期待される30歳以下の5組のクリエイターを選出。デザイン&アート界の明日を担う彼らの活躍に期待です。

01. 野村仁衣那

無機質なプラスチックに光の細胞を宿す

SELECTOR

アストリッド・クライン&マーク・ダイサム
私たちが野村さんの作品に惹かれたのは、穴を開けるという単純な行為で、何でもない日用品が魅力的になることでした。冷蔵庫や椅子のような物体でさえ、突然レースのよう軽く浮遊するかのように変化します。それぞれの作品は、詩的かつ曖昧でありながら、一貫性を持ち合わせているところが素敵で、グラスや容器の表面に透明ビーズを施した作品では、金魚でもワインでも、中身が非物質化されてしまうのです。彼女の楽しくも繊細なプロジェクトは私たちに今までにない新しい視点を与えてくれるでしょう。

02.Karyn Lim

クラフトと伝統を守る未来的プロダクト

SELECTOR

川上シュン
クラフトと伝統の保持をテーマにし、積極的にコラボレーションを行い、協業することでデザインをアップグレードさせる姿勢、そして、クラフトデザインにテクノロジーを取り入れるスタイルなど、とても共感する部分を多く感じました。ポリゴンや幾何学ピースなど、視覚的には未来的なアウトプットとなっていますが、その背景には当たり前のようにサステナビリティにも配慮され、木材をアップサイクルするなど、次世代の価値観と、未来へのライフスタイルとの連動性など、今後のポテンシャルを感じるインダストリアルデザイナーとして、今回、ピックアップさせてもらいました。

03.古舘壮真

湾曲する1mmの鉄板が作り出す大胆な造形

SELECTOR

青木昭夫
1mmの鉄板のみを用い、スツールやシェルフなど様々なものに変容した古舘壮真さんが手がけた家具シリーズ『MASS』はドイツ出身の建築家、ミース・ファン・デル・ローエが残した「Less is More」に通ずるありそうで無かった視点を与えてくれました。湾曲させることで生まれる構造体を連立し、耐荷重など家具としての機能を果たしながらシンプル且つ大胆な造形に。ある種彫刻的でそのまま大きくしたらパブリックアートになるのではと勝手にワクワクしていました。将来が楽しみなデザイナーのひとりであることは間違いありません。

04.messagingleaving(Chialing Chang)

真鍮の光の媒体としての新たな表情

SELECTOR

永田宙郷
新しい素材と技術を用い、効率的な生産を行い、気持ちを高揚させるプロダクトが世に溢れる中で、人類が長く使ってきた真鍮を用い、手による鍛造で造形し、光に揺らぎを生み出す本プロダクトは、喧噪の中でも静寂の中でもどのようなシーンにおいても、過ごす時間と場所に安らぎを与え、物の背景にある人の営みを感じさせてくれることでしょう。自分の生活にも取り込みたいと思える良質な照明だと思い選びました。

05.満永隆哉

ベルリンの壁のオンラン化プロジェクト

SELECTOR

小池博史
この作品は愛する家族や友人知人と不意に引き裂かれた痛ましい戦争の爪痕であり分断の象徴が、オンラインでコミュニケーションの場になることに面白さがあると思います。instagramを通じてシェアされ、リアルなグラフィティにタギングやコメントするなど上書きすることで新しいコミュニケーションが生まれる作品です。この作品により戦争の痛ましい過去が広く認知され一刻も早く悲惨な戦争がなくなることを祈ります。

BRAND / CREATOR

01. 野村仁衣那

1993 年東京都生まれ。2021 年桑沢デザイン研究所スペースデザイン科を卒業後、作家活動開始。素材の真の価値とは何か、 現代におけるモノと人の関わりの真の豊かさに焦点を当てた作品を発表している。

https://www.ninanomura.com/

02.Karyn Lim

シンガポール生まれのインダストリアルデザイナー。素材の特性を活かしたクラフトデザインにテクノロジーを取り入れることで、現代のライフスタイルに適応したプロダクトを探求する。

https://www.karynlim.com/

03.古舘壮真

1995 年生まれ。東京を拠点に活動。 空間に内在するあらゆる関係性に着目し、独自のアプローチでデザインやアートワークを 行う。デザイングループ MULTISTANDARD メンバー。

https://www.sohmafurutatedesign.com/

04.messagingleaving(Chialing Chang)

台北を拠点とするクリエイティブスタジオ。アートとデザイン、オブジェクトと彫刻、工業的な技術と職人的な手法など様々な領域を横断し、独自の創造性を持つ作品を生み出している。

https://messagingleaving.com/

05.満永隆哉

HYTEK INC. 代表取締役、アーティスト。12歳の時にパフォーマンスカルチャーと出会い影響を受ける。マスとストリート、表舞台と裏方、デジタルとフィジカルとを繋ぎ合わせることを使命に活動。


https://hytek.co.jp/