Biodiversity art from Perrier-JouëtINTERVIEW

ペリエ ジュエから生まれたBiodiversity art

1811年創業のシャンパーニュメゾン、ペリエ ジュエ(Perrier-Jouët)。DESIGNART TOKYO 2021では、カテリーナ・ミシャーとトーマス・トラクスラーよるデザイナー・デュオ、ミシャー’トラクスラー(mischer’traxler)とコラボレーションした作品を展示します。テーマは、Biodiversity(生物多様性)。人間と自然の相互関係を表現したインタラクティブな作品に込めた想いを、デザイナーの2人に伺いました。

 

インタビュー・文 長谷川香苗

 

オーストリア、ウィーンを拠点とするデザイナーン・デュオのミシャー’トラクスラー。 DESIGNART 2021で展示する作品『Curiosity Cloud Mobile』は、樹木の枝のような構造体の 先端に30ほどのガラスの容器が吊るされたもの。その中に閉じ込められたメタルで象った昆虫が人の気配で音を立てて飛び回る仕組みになっています。昆虫は、19世紀末に絶滅した中米のウラニア・スロニウス(urania sloanus)というチョウや、世界各地に広く生息し、野原や花畑で見かけるヤマキチョウ(common brimstone)など、様々。

 

 

アール・ヌーヴォー時代を耽美的に表現したアネモネの花をシンボルにするペリエ ジュエとコラボレーションで制作した意図を、カテリーナ・ミシャーさんはこう語ります。「19世紀末から20 世紀初頭のアール・ヌーヴォーの時代の家具には、植物や昆虫のモチーフが見られます。石炭燃料による産業の機械化が急速に進んだヨーロッパでは、大気汚染が広がりました。エミール・ガレやルイ・マジョレールといったデザイナーたちは、見落とされがちな小さな生き物たちの姿を 家具のデザインに取り入れることで、自然とのつながりを取り戻したいと思っていたのではないでしょうか。私たちの作品は、100年以上も前の彼らの表現を、現代の技術を使って置き換えようとする試みなのです」。

 

 

こうした姿勢は、ミシャー’トラクスラーが展示するもうひとつの作品『I am Nature』にも表れています。作品は、ペリエジュエを象徴するアネモネの花を象ったシルエットの中に、チョウやアオムシ、ミミズなどの無数の命の姿が描かれた水彩画と、人が近づくと、壁画に投影されたそのシルエットの中に植物や昆虫の姿が浮かび上がるインタラクティブなもの。

 

 

作物はチョウやハチによって受粉し、土の中の微生物によって養分を得る。私たちもこうした食物連鎖の中に生きているのであり、人間も自然の一部であることを連想させるアートワークです。

 

 

「人間が頂点に立つ生態系のヒエラルキーをなくして、人と自然の共生を感じてもらいたかった のです。現代の研究では、様々な微生物や菌糸体が土壌の中で互いにコミュニケーションを取り合い、生態系のバランスを保っていることが解明されています。どの種が優勢ということではなく、相互扶助の関係にあることに気づいてもらいたい」と語るトラクスラーさんも、想いは同じです。「シャンパーニュ造りに携わる人たちは、ブドウの生育に大きな影響を与える土壌作りから始まり、自然ととても近い距離にあります。私たちデザイナーも、ガラスや金属製品などの地球の資源を素材にして物作りをしますから、そういう意味では、自然と共生している、相互関係にあるといえます」。ブドウ畑に生息する多種多様な植物や生き物たちが実際とは違う、互いに等しい大きさで描かれているのは、”Biodiversity~生物多様性~”への賛美なのです。

 

 

 

メゾン ペリエ ジュエのテロワールに必要不可欠な要素である「Biodiversity〜生物多様性〜」に敬意を込めて描かれた、

ミシャー’トラクスラーとのコラボレーションによるペリエ ジュエ ベル エポック2013ギフトボックス。ムービーはこちらからご覧ください

 

 

DESIGNART TOKYO 2021特設ページはこちらから

https://www.perrier-jouet.com/ja-jp/pj×designart-tokyo-2021

ミシャー’トラクスラー(mischer’traxler)

カテリーナ・ミシャー(1982年生まれ)とトーマス・トラクスラー(1981年生まれ)は2009年にミシャー’トラクスラーというスタジオを設立。

この非凡なデザイナーデュオはウィーンを拠点に数々の商品や家具、キネティックアートを手掛け、クラフトマンシップと最先端のテクノロジーを融合した作品を発表しています。コンセプチュアリズムや実験からヒントを得た彼らの作品は、アートの現状に疑問を投げかけ、優れたデザインを生み出す感情、環境、哲学の本質を探っています。これまでに数々の賞を受賞。

また、彼らの作品はシカゴ美術館やヴィトラ・デザイン・ミュージアム、ウィーンのMAK(オーストリア応用美術博物館)で常設展示されているほか、ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館やロンドンのデザインミュージアム、ミラノのトリエンナーレ、北京の中央美術学院美術館、ローザンヌのMudac(現代デザイン・応用芸術美術館)にも展示され、各国の催事や展覧会に出品されています。

 

 

 

ペリエ ジュエ ベル エポック2013   ミシャー’トラクスラーコラボレーションBOX

ブドウ畑の日常から自然と命に対する敬意を込め、アートとの繋がりを深めてきたペリエ ジュエ。その想いに応えて生まれた小さな虫たちの美しい世界は、今年8月に発売されたばかりのペリエ ジュエ ベル エポック2013の新しいギフトボックスにもデザインされ、期間限定で発売されています。水彩で描かれたミシャー’トラクスラーのみずみずしい感性に心を寄せて、楽園のテロワールをお楽しみください。

 

27,830円(参考小売価格、税込)

ペリエ ジュエとミシャートラクスラーとのコラボレーションは公式WEBサイトからもっと詳しくご確認いただけます。

https://www.perrier-jouet.com/ja-jp/news/pj-mischertraxler-giftbox-collection