THE FLOW OF TIME
「THE FLOW OF TIME」は、今年4月にミラノデザインウィークで発表されたグランドセイコーのアートインスタレーションの東京展です。プロデューサーに株式会社TRUNKの桐山登士樹氏を迎え、日本人の美意識の中にある「自然界の時の流れ」を映し出すかのような、なめらかな針の動きを特徴とする独自の機構「スプリングドライブ」をモチーフに選び、その世界観を空間として表現しました。クリエイターには多彩なジャンルで活動を展開するデザインスタジオTAKT PROJECT代表の吉泉聡氏、ストーリー性の高い映像表現に定評のあるCGディレクター阿部伸吾氏を起用しました。吉泉氏はインスタレーション「Approach to TIME.」で、形状の異なる12体の透明なオブジェにそれぞれ200以上からなるスプリングドライブの時計部品を封入しました。またたく光の粒をまといながら浮遊する時計部品は、一体ごとに形を変えていくオブジェの中で徐々に組みあがり、時計として動き始めます。整然と並ぶオブジェの背後には、時のうつろいを情感豊かに描く映像を圧倒的な迫力で投影しました。映像には太陽や天体の軌道、降り散る花びら、水紋など、日本人が古来愛おしんできた「流れていく時」と自然美への憧憬と共に、日本の「今」を感じさせる情景も織り込みました。オブジェと情景が一体となり、普遍的でありながら常に新しい美の世界が眼前に展開されます。また阿部氏の映像作品「Kizamu / Nagareru」では露光技術を自在に操り、舞い落ちる木の葉、木々にかかる雨などを通して刻む時と流れる時の対比をエモーショナルに表現しました。ミラノデザインウィークにおいて、一般のみならずメディア・デザイン関係者からも高い評価を獲得した、高い精度と美しさを両立させたスプリングドライブと、「時の本質に迫る」グランドセイコーの思想を、ぜひご体感ください。